テキストから生成される業務フローの粒度をコントロールする

最終更新日: 2026年3月17日

Acsimのテキストからの業務フロー生成で、入力テキストの書き方を工夫して生成されるフローの粒度をコントロールする方法を紹介します。

Acsimでは、テキストの説明から業務フローを自動生成できます。しかし、「生成された業務フローが細かすぎて、全体像が見えにくい」と感じることがあるかもしれません。

ここでは、その理由と、テキストの書き方を工夫して粒度をコントロールする方法を紹介します。

Acsimが業務フローを細かく生成する理由

Acsimは、業務フローを意図的に細かい粒度で生成する設計になっています。

これは、業務フローが曖昧なまま要件定義や設計に進むと、後工程で「実はこの業務には確認ステップがあった」「この分岐条件が抜けていた」といった手戻りが発生しやすいためです。業務の各ステップをできるだけ具体的に可視化することで、関係者間の認識のずれを防ぎ、要件定義の精度を高めることを意図しています。

粒度の使い分け

一方で、すべての場面で詳細な業務フローが求められるわけではありません。

目的適した粒度
経営層やマネジメント層への業務概要の共有粗い
現場ヒアリングの叩き台として全体像を把握したい粗い
要件定義・設計のインプットとして使う細かい
現場担当者との業務の抜け漏れ確認細かい

概要レベルの業務フローが必要なときもあれば、詳細な業務フローを作るべきときもあります。

本記事では、粒度の粗い業務フローを生成したいときに、入力テキストの書き方で粒度をコントロールする方法を紹介します。

コツ1. 手順ではなく業務の概要で記述する

最も効果的な方法は、細かい操作手順ではなく、業務の概要レベルで記述することです。

AIは「1つの文 ≒ 1つのノード」として抽出する傾向があります。1つの文に含める情報の粒度を大きくすることで、生成されるノード数を抑えられます。

Before(細かすぎる例)

1. 営業担当者がメールを開く
2. 営業担当者が見積依頼の内容を確認する
3. 営業担当者がExcelを開く
4. 営業担当者が見積テンプレートを選択する
5. 営業担当者が品番を入力する
6. 営業担当者が数量を入力する
7. 営業担当者が単価を入力する
8. 営業担当者が合計金額を確認する
9. 営業担当者が見積書をPDFで保存する
10. 営業担当者が顧客にメールで見積書を送付する

この書き方では、10個のノードが生成されます。

After(適切な粒度の例)

1. 営業担当者が顧客から見積依頼を受け取る
2. 営業担当者が見積書を作成する
3. 営業担当者が顧客に見積書を送付する

業務の要点だけを記述することで、3つのノードにまとまります。

ポイント: 「何のツールを使うか」「どのボタンを押すか」といった操作レベルの記述は省略し、「誰が何をするか」という業務レベルで記述しましょう。

コツ2. 登場人物(Actor)を冒頭で明示する

テキストの冒頭でActorを明示的に宣言すると、AIが正確にActorを認識しやすくなります。また、Actorを絞ることで、不要なノードの生成を防げます。

推奨する書き方

【登場人物】
- 営業担当者:見積作成・顧客対応を担当
- 営業部長:見積の承認を担当
- 基幹システム(システム):受注データの管理を行う

【業務フロー】
1. 営業担当者が顧客から見積依頼を受け取る
2. 営業担当者が見積書を作成する
3. 営業部長が見積書を承認する
4. 営業担当者が顧客に見積書を送付する
5. 顧客が発注した場合、基幹システムに受注登録する

Actorを「(システム)」と明記すると、AIがシステムアクターとして認識します。人間のActorとシステムのActorを区別したい場合に有効です。

コツ3. セクションで業務の区切りを示す

セクション見出しを使って業務の区切りを示すと、業務フロー全体が構造化され、見通しのよいフローが生成されます。

推奨する書き方

見積業務フロー

セクション1: 見積作成
営業担当者が顧客から見積依頼を受け取り、見積書を作成する。営業部長が内容を確認し、承認する。

セクション2: 受注処理
顧客が発注した場合、営業担当者が受注登録を行う。在庫がない場合は、納期を顧客に連絡する。

セクション3: 出荷・請求
倉庫担当者が出荷処理を行い、経理担当者が請求書を発行する。

コツ4. 条件分岐は本当に必要なものだけ書く

テキストに「〜の場合」「〜でなければ」といった条件分岐を書くと、AIはそれを分岐ノード(ConditionNode)として生成します。

条件分岐が多いとフローが複雑になるため、業務の主要な分岐のみを記述し、例外的なケースは省略するとよいでしょう。

Before(分岐が多すぎる例)

見積金額が10万円未満の場合は課長が承認する。
見積金額が10万円以上50万円未満の場合は部長が承認する。
見積金額が50万円以上の場合は役員が承認する。
承認が否認された場合は営業担当者が再作成する。
再作成後、再度承認フローに戻る。

After(主要な分岐のみ)

見積書を上長が承認する。否認された場合は営業担当者が再作成する。

詳細な分岐条件は、生成後にAcsimのエディター上で追加する方が、全体の見通しを保ちながら段階的に詳細化できます。

コツ5. 生成後にAcsim上で調整する

テキストからの業務フロー生成は「たたき台」の作成です。生成後にAcsimのエディターで以下の調整を行うことで、目的に合った業務フローに仕上げることができます。

  • 不要なノードの削除: 細かすぎるステップを削除する
  • ノードの統合: 関連する複数のノードを1つにまとめる
  • Actorの修正: 誤って割り当てられたActorを修正する
  • 条件分岐の追加・削除: 必要な分岐を追加、不要な分岐を削除する

コツ6. 既存の詳細フローをAcsim Chatで概要レベルに変換する

すでに詳細な業務フローがAcsim上にある場合、それをJSON出力し、Acsim Chatで概要レベルのテキストに変換してから再度「テキストから生成」で取り込む方法があります。

この方法は、詳細な業務フローの情報を活かしつつ、概要レベルの業務フローを別途作成したいときに有効です。

手順

  1. Acsimのエディターで詳細な業務フローを開き、JSONとしてエクスポートする
  2. Acsim Chatにエクスポートしたjsonファイルを添付し、概要レベルのテキストに変換するよう依頼する
  3. Acsim Chatが出力したテキストを「テキストから生成」に入力し、概要レベルの業務フローを生成する

Acsim Chatへのプロンプト例

エクスポートしたJSONファイルをAcsim Chatにドラッグ&ドロップで添付し、以下のプロンプトを送信します。

添付した業務フローのJSONファイルを、概要レベルの業務フローに要約してください。

【要約のルール】
- 各セクションの業務を2〜4ステップ程度にまとめる
- 操作レベルの細かいステップは省略し、「誰が何をするか」の業務レベルで記述する
- 登場人物(Actor)は冒頭にまとめて記載する
- セクションの区切りを維持する
- 条件分岐は主要なもののみ残す
- Acsimの「テキストから生成」にそのまま入力できる形式で出力する

出力例

Acsim Chatから以下のようなテキストが出力されます。

【登場人物】
- 営業担当者:見積作成・顧客対応を担当
- 営業部長:見積の承認を担当
- 倉庫担当者:出荷処理を担当
- 経理担当者:請求書発行を担当
- 基幹システム(システム):受注・在庫データの管理

セクション1: 見積作成
1. 営業担当者が顧客から見積依頼を受け取る
2. 営業担当者が見積書を作成する
3. 営業部長が見積書を承認する
4. 営業担当者が顧客に見積書を送付する

セクション2: 受注処理
1. 顧客が発注した場合、営業担当者が基幹システムに受注登録する
2. 在庫がない場合、営業担当者が顧客に納期を連絡する

セクション3: 出荷・請求
1. 倉庫担当者が出荷処理を行う
2. 経理担当者が請求書を発行する

このテキストをそのままAcsimの「テキストから生成」に入力することで、概要レベルの業務フローが生成されます。

応用:概要レベルの業務フローをPowerPointで共有する

ここまでのコツで作成した概要レベルの業務フローは、顧客や社内の経営層・マネジメント層への説明資料として活用できます。Acsim Chatを使って業務フローをSVG形式で出力し、PowerPointに貼り付けることで、編集可能なスイムレーン図として共有できます。

この方法が有効な場面

場面具体例
顧客への業務概要の説明プロジェクト初期に現状業務の全体像を共有する
経営層への報告資料業務改善の対象範囲をビジュアルで示す
社内関係者への共有部門横断プロジェクトで各部門の業務の流れを俯瞰する
プリセールス・提案活動提案書に業務フロー図を組み込む

手順

概要レベルの業務フローがAcsim上にある状態から、以下の手順で進めます。

  1. 業務フローJSONをダウンロード — Acsimのエディターから業務フローをJSONとしてエクスポートする
  2. Acsim ChatでSVGを生成 — ダウンロードしたJSONをAcsim Chatに添付し、SVG生成プロンプトを実行する
  3. SVGファイルを保存 — 生成されたSVGコードをファイルとして保存する
  4. PowerPointに貼り付け — SVGファイルをPowerPointにドラッグ&ドロップで挿入する
  5. 図形に変換して編集 — 貼り付けたSVGを右クリック →「図形に変換」で、色やテキストを自由に編集できるOfficeの図形オブジェクトになる

SVG生成の詳細なプロンプトやExcelでの活用方法については、ExcelやPowerPointに業務フローを出力を参照してください。

概要レベルのSVGを作成する2つのアプローチ

概要レベルの業務フロー図をSVGで作成するには、以下の2つのアプローチがあります。

アプローチA:概要レベルの業務フローを先に作成してからSVGにする

  1. 本記事のコツ1〜4を使って概要レベルのテキストを作成し、Acsimの「テキストから生成」で概要レベルの業務フローを作成する
  2. 作成した業務フローのJSONをエクスポートし、Acsim ChatでSVGを生成する

アプローチB:詳細な業務フローのJSONからAcsim Chatでサマリーを直接生成する

すでに詳細な業務フローがAcsim上にある場合、JSONをエクスポートしてAcsim Chatに添付する際に「添付した業務フローを解析して、サマリーレベルの業務フロー図をSVGで作成してください」と依頼することで、概要レベルのSVGを直接生成できます。Acsim上で概要レベルの業務フローを別途作成する必要がないため、手順を省略できます。

使い分けの目安:

アプローチ適した場面
A:概要フローを先に作成Acsim上で概要レベルの業務フロー自体も管理・編集したい場合
B:JSONからサマリーSVGを直接生成説明資料用のSVGをすばやく作りたい場合

いずれのアプローチでも、生成したSVGをPowerPointに貼り付けて共有し、フィードバックを反映しつつ、必要に応じてAcsim上で詳細フローも並行して整備するという進め方が効果的です。概要レベルの業務フロー図で関係者の合意を形成しながら、詳細な業務フローで要件定義を進めるという使い分けが可能になります。

まとめ

コツ内容
概要レベルで記述する操作手順ではなく「誰が何をするか」で書く
Actorを冒頭で明示する登場人物を事前に宣言し、正確なActor認識を促す
セクションで区切る業務の区切りをセクション見出しで示す
条件分岐を絞る主要な分岐のみ記述し、詳細は後から追加する
生成後に調整するたたき台として生成し、エディターで仕上げる
既存フローから変換する詳細フローをJSON出力し、Acsim Chatで概要レベルに変換する
PowerPointで共有する概要フローをSVGで出力し、PowerPointに貼り付けて関係者に共有する

Acsimは要件定義の精度を高めるために、業務フローを細かく生成する設計になっています。しかし、目的に応じて粒度を使い分けることで、より効果的に業務フローを活用できます。まずは粗い粒度で全体像を作成し、必要に応じて段階的に詳細化していくアプローチがおすすめです。

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